歯みがき粉のCMやうたい文句で、再石灰化という言葉をよく耳にすると思います。
なんとなくイメージがつくけれども詳しく説明できない、再石灰化にかかる時間が正確にわからない、という方も多いのではないでしょうか。そもそも再石灰化とは何で、どのくらいの時間をかけて起こるものなのでしょうか。
今回は、再石灰化が歯を強くする仕組みとそれにかかる時間について解説していきます。
このページの目次
再石灰化とは?脱灰と再石灰化のメカニズム

再石灰化とは、歯の表面から溶け出してしまった成分が元に戻ることを意味します。
私たち人間の口の中には、常に菌が存在しています。この菌は歯にくっつくと、食べ物に含まれる糖質をエサにして酸をつくります。この酸が歯の表面の成分であるミネラル(カルシウム、リン)を溶かしてしまいます。これを脱灰(だっかい)と呼びます。
しかし、酸によって歯の成分が溶け出してしまっても、唾液などの働きで酸を中和し、溶け出したミネラルを歯の表面に戻してくれるのです。
再石灰化にかかる時間の目安

再石灰化にかかる時間は、通常30分〜40分が目安です。糖質の多いものをとると脱灰の度合いも大きくなりますので、時間にはばらつきがあります。
酸をつくるときに必要な菌のエサが口の中にはいったとき、つまり食事をしたときに脱灰と再石灰化はおこります。食事をして糖質を摂取すると、菌が酸をたくさん作り出し口の中が酸性に傾きます。
しかし、その後唾液による中和作用と再石灰化作用で、口の中はふたたび中性にもどり、溶け出したミネラルも元にもどっていきます。ミネラルが完全に元に戻るには時間を要するわけです。
再石灰化が間に合わないと虫歯になりやすくなる

再石灰化で歯の状態が元にもどるには30分〜40分の時間がかかるため、再石灰化が終わらないうちにまた食事をすれば脱灰はさらにすすんでしまいます。
これを繰り返していると、歯の中がずっと酸性の状態になってしまうため、歯の表面のミネラルが溶かされ続けて穴があいて虫歯となる原因となります。
再石灰化を助けるための習慣

規則正しい食生活と歯磨き習慣
1日3食きちんと食間をあけて規則正しく食事をとることは、脱灰と再石灰化のバランスを保つことに有効です。1日に何度も食事をとる人は、規則ただしい人に比べて酸性にかたよりがちになり脱灰を促進してしまいます。甘いものの取りすぎや就寝前の食事やあまいものの摂取も控えましょう。
そして、食後はなるべく時間をあけず歯磨きをして、脱灰の原因となる糖質を取り除きましょう。
再石灰化を助けるアイテムの使用
再石灰化を促す成分を含む再石灰化の強い味方の成分にフッ素があります。フッ素入りのアイテムを日々の歯みがきや生活に積極的取り入れることで、再石灰化を促して虫歯予防に役立てましょう。
フッ素入り歯磨き粉・フッ素入りジェル
フッ素には、歯の再石灰化を促進させる作用があります。また、歯の成分そのものと結合して歯を強くする作用や、フッ素自身が殺菌力を持っており虫歯菌の活動を抑制する働きもしてくれます。
歯みがきの際、フッ素が高濃度で含まれる歯磨き粉を使用したり、歯みがきの後にフッ素入りジェルを使用するようにしましょう。特に就寝前はしっかりと歯みがきを行い、菌を減らしておくことが大切です。
フッ素入り歯磨き粉・フッ素入りジェルの選び方とおすすめ商品はこちらの記事をご覧ください。
有効成分入りのガム
歯みがきがすぐにできないときは、フッ素・キシリトール・リカルデントなどの再石灰化に良いとされる成分配合のガムを噛むのも効果があります。ガムを噛むと唾液の分泌が多くなりますので、唾液の働きを促すこともできます。
また、食後すぐには唾液の再石灰化の効用を邪魔しないために30分ほど時間をおいてから歯みがきをしたほうが良いという説が浮上し話題となったこともありますが、これは日本小医科学会が正式に否定しています。(参照:一般社団法人日本小児歯科学会「食後の歯みがきについて」)
歯みがきができる環境がある際は、歯みがきを優先しましょう。
まとめ
再石灰化で歯がもとの中性に完全に戻るには、30分〜40分程度の時間が必要です。再石灰化が十分に行われない状態が続くと、歯の表面に穴があき虫歯の原因になります。
食後はなるべく早く歯を磨き、再石灰化を促進するアイテムなども併用し、バランスが良好にとれている口内環境を保つようにしましょう。